台風の影響が心配な週後半です。宮崎では、週末は持ち直すようですが、全国的には、伊豆大島の大災害も、福島の汚染水問題もありますので、甚大な被害をもたらさないことを祈るばかりです。
さて今日は、昔話を。
大学を卒業し、毎日新聞社に入社した私は、ほんの2週間の新入社員研修が終わると、横浜支局に配属されました。同期入社の記者が一斉に全国にばらまかれ(まさにばらまかれるという感じ・・・)、私は東京のお隣・神奈川県に落下したわけです。神奈川県内には同期2名が配属されましたが、もう1名は転職組のため半年前倒しで配属されており、”実質先輩”。しかもお隣の川崎支局。ですから、毎日新聞の地方機関として最大規模の横浜支局には、唯一の新人でした。
その横浜支局に私は5年間勤務しましたが、そのうち4年弱が「神奈川県警」の担当でした。まさに社会人としての礼儀も、取材作法も、人と心を通ずることの大切さも、そして社会をみつめる問題認識も警察取材を通して学んだような気がします。
当時の神奈川県警は、全国に飛び火した一連の警察不祥事の舞台で、警察とマスコミの関係も難しい時期でした。私は刑事部の1課・3課事件、生安事件、交通などを中心に取材しましたが、当局と対峙する緊張感と同時に、ふんだんな心の交流を持てたことが最も大きな経験になりました。
あまり詳細は記せませんが、当局も、事件関係者も、取材するメディアも人間同士です。お互いの信頼が成り立てば、そこに必ず心と心が通じる作業があるということを新人時代に学びました。その作業とは、立場は違えど報道することの意義を一定程度理解し合える努力をすることではないかと思います。その作業が実った時こそ、有意義な報道につながることが多かったように思います。その作業は舞台が変わっても同じで、その後の行政取材や政治部での取材、そして今の地方議員の仕事でも同じでした。
このところ宮崎でも「1課事件」(捜査1課が担当する事件という意味)と新聞記者が呼ぶ事件が新聞紙面をにぎわしています。報道合戦で苦戦する若い記者さんたちもいるでしょう。大変でしょうが、時々深呼吸でもして「なぜ、その報道が必要なのか」を自ら問い直しながら、奮闘してもらいたいものです。きちんと報道する目的が見えれば、その狙いや意図は、読者にも、捜査当局にも理解されるはずです。
県議会の控室で私がお茶を飲むマグカップは、神奈川県警のロゴ入りです。県警の売店で売っていたのを誰かがプレゼントしてくれたのだと思いますが、新聞記者時代からずっと使っています。新聞社を退社して間もなく4年。県議会での執務の合間に、そのマグカップを片手に新聞を読みながら、新人記者時代を思い出す今日この頃です。
【渡辺創】
※2枚目の写真は、支局時代ではなく、政治部で全国を駆け回っていたころに、夜の新幹線で疲れて寝込んでいる姿を他社の同僚記者が撮影したものです。