2020.04.16【お知らせ】新型コロナ関連公開質問状

 先日、「未来企画室」という団体の方から新型コロナウイルス感染症対策に関する公開質問状をいただきました。

 国の緊急事態宣言発令があるにも関わらず、県知事は危機感を示しているものの、県政のあり方に県民は納得がいっていないという立場で、県議の見解を求めたものでした。

 質問状の全文は示しませんが、以下のポイントを指摘したうえで、「県立学校が休校措置をとる必要性の可否」と「その判断理由」を求めています。
質問状における指摘のポイントは、
①県は県内を「感染確認地域」と「感染未確認地域」と判断している。しかし宮崎市と日南市は「感染拡大警戒地域」に準ずるとしている。県が同じ評価にならないのは、感染拡大警戒地域の定義を「クラスターを含め感染者の発生が続発している」と独自の判断をしているからではないか。独自判断なら県の責任だ。
②県立学校では、緊急事態宣言が出された地域に(発令前の)3月23日から4月6日までに滞在した教職員が106名おり、自宅待機となっている。教職に就く者の意識が低い表れであり、県民に危機管理意識が共有できていない。
③県立学校が休校措置をとらないのは、県が適正に状況を評価できていないため。
というものです。

 事務所内で連絡ミスがあり、メールでの質問状に気づくのが遅れたため、締め切りを過ぎましたが、14日夜に私なりの現時点での回答をしました。その回答がツイッターなどでも公開されているようですので、記録としてブログにも記しておきます。前段にあるのは、締め切りを過ぎたことへの説明ですので、気にしないでください。

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公開質問状への回答

 質問状を頂いておりましたが、返答が遅くなりましたことをお詫び致します。4月9日22:54に受信しておりましたが、私が未確認でした。14日夕方にツイッターの記載に偶然気づき、公開質問状の件を把握し、事務所内で確認したところ、見落としに気づいた次第です。受領のご連絡すらできていませんでしたことをお詫び致します。

【質問状のポイントについての見解】

○県が延岡・西臼杵郡圏域、宮崎市・東諸県郡圏域、日南市・串間市圏域の現状を「感染確認地域」としていることは、妥当な判断と考えます。その前提には、「感染数」及び、「現時点での感染確認が県外での感染、県外移入者からの感染が強く疑われるものであり、感染源の推定が困難なケースが存在しないことも影響していると考えます。もちろん、今後の感染拡大の推移によっては、さらに踏み込んだ判断があるべきと考えます。 

○「感染未確認地域」「感染確認地域」「感染拡大警戒地域」の判断は、基本的に都道府県が行うものと認識しています。宮崎市が「感染拡大警戒地域に準ずる」と判断したことについては、宮崎市の危機感を表現すると同時に、市立学校の休校判断の拠り所としたものと考えています。県と十分な意見交換がなされたうえでの表現であったか否かは確認できていませんが、県の位置付けと食い違ったように見えることが県民に混乱を与えているのはご指摘の通りと考えます。 

○県の資料において、「感染拡大警戒地域」の定義が「クラスターを含め感染者の発生が続発している」との表記になっているのは、ご指摘の通りです。私自身がその点について十分な認識を持っていませんでした。確かに国の文書等に同様の表現は確認できませんので、なぜそのような表記になっているのか、県当局に確認致します。 

○緊急事態宣言が発令された地域に、発令以前に滞在した教職員が自宅待機となっていることについては、それぞれの事情について十分な考察ができておりませんので、一概に評価することはできません。ただ、危機管理意識に課題があるのではとの指摘は、事実の総体としては受け止めるべきものと考えます。

【休校判断について】

○リスクを最大限排除するという視点からは、県立学校の休校判断はあり得るものと考えます。宮崎市では義務教育段階や一部の私立高校が休校となり、市内の県立高校では授業および部活動(制限あり)が行われている実態は、ちぐはぐな印象があるのも事実です。その原因は、上述した県と市の判断の相違にあるわけです。 

○ただ、一方で「感染確認地域」である現状では、社会経済活動の一定の制約と、医療関係者や住民の努力によって感染拡大が指数関数的に増加する状況にはありません。高校生にとって一年間の重要なスタートの時期であることも事実です。「感染予防」と「教育の機会確保」を天秤にかけることはできず、判断の難しい状況です。 

○私は休校を解いて1週間が過ぎた現状を踏まえれば、当面の間は冷静に状況を見守り、感染者の急増、感染ルート不明なケースの発生、いわゆる市中感染の確認などが見られた場合には、再び迅速に休校措置をとるべきと現時点では考えています。そして、先行きはわからない現状ですが、この間に学校においては、再び休校となる可能性を念頭に、どのように健康を守り、どのように過ごし、どのように学ぶのかということの方向付けをしっかり行うべきです。 

○もちろん、高校生の家族(高齢者と同居の場合もあるでしょう)や校外活動でのリスクなど考慮すべきことは多数あります。またそれぞれの視点、観点の違いがあるのも事実です。その多様な声を受け止めて、最終的には判断権者である教育長と、その任命権者である知事が責任をもって対応すべきです。

【その他】

○宮崎県議会では災害対策協議会を稼働させており、県が対策本部を設置して以降、現場対応を行っている県当局の負担軽減と現場混乱を避けるため、情報収集の一元化を図っています。口蹄疫時と同様の対応です。今後、国の補正予算を受けた県補正予算案を審議する場が確保される見通しです。その場では、今回頂いたご指摘も含め、県の基本姿勢を質していく考えです。スピーディーな対応ではないとご批判もあるかもしれませんが、有事に現場混乱を招かないことを最優先した「経験の中からの判断」ですので、ご理解いただければ幸いです。 

○私も政治というフィールドに身を置く立場であると同時に、様々な地域活動に関わり、休校中の中学生と小学生の保護者という立場でもあります。いまの状況に、日々様々な感情を抱えながら、暗中模索している一員でもありますことを申し添え、ご期待に沿える内容ではなかったかもしれませんが、現時点での回答とさせていただきます。 

 返答期限を過ぎましたことを改めてお詫びいたします。

  

2020年4月14日           

宮崎県議会議員  渡辺 創