“生”の足跡

Cimg0093  5月31日から二泊三日で、県議会の会派視察に出かけてきました。傷めている左目に眼帯をかけたままで、不自由もありましたが、無事に戻ってきました。

 訪問先は、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県内から始まり、東京都、千葉県浦安市。詳細は改めて記しますが、圧倒的な自然の力を目の当たりにし、いくつかのことを深く考え込む時間になりました。

 今回の視察で東北の被災地に入ることには会派の中でも議論がありました。簡単に言えば、復旧を急ぐ段階の被災地に足を踏み入れても迷惑になるだけではないのかという心配があったわけです。私自身も迷いがありました。そこで、被災地取材に入っていた新聞社時代の同僚数人に相談したところ、全員が「懸念はよくわかるが、この現実は見ておくべきだ」とのこと。

 視察を終えての実感は、「見ておくべき」。アドバイスの通りでした。うまく表現し切れませんが、肌で、五感で、今回の震災の現実に触れたと言えばいいのでしょうか。今回の視察は、当然ですが、宮城県では訪問先の自治体の負担とならないように、完全に自力のコーディネート。西村県議が交流のある被災地支援グループの方々に話を伺いながらの行動でしたが、これからの宮崎の防災、そして少し大げさに言えば、この国のあり方を考えるうえでも貴重な経験となったと強く感じています。

 写真は、石巻市内での一枚です。津波によって辺り一面が押し流されてしまった住宅地のがれきの中に、我が家の食卓にもありそうなサラダドレッシングのビンが埋もれています。

 被災地の様は、何度も何度もテレビの画面で目にしています。目の前に広がる光景は、確かにそれと同じ。しかし実感が違うわけです。なかなか目の前の様を体が、脳が現実のものと受け入れてくれないと言えばいいのでしょうか。あまりの迫力に、いまや生活者のいない、その集落の様子と「人が暮らしてきた場所」という当たり前の現実をうまく結び付けられない違和感をずっと感じていましたが、この写真の場面に気付いた瞬間に「ここにはおそらく私の家とそう変わらない日常があったんだ」と強く実感しました。さらに周りを見渡せば、我が家の3歳になったばかりの息子が遊んでいるのと同じような「機関車トーマス」のおもちゃが転がり、プロ野球の選手名鑑が半分地中に埋もれています・・・。ビルに突っ込んだ漁船も、大破した自動車も、鉄骨だけが残されたビルの跡も衝撃的でしたが、がれきの中に残る人の“生”の足跡が最も痛々しい光景だった気がしています。

 さて、今日(もう昨日になってしまいましたが・・)は、菅首相の不信任決議案に揺れた一日でした。少し思うところありますので、その件は明日改めて記したいと思います。

 明日からは6月議会に向けた議案検討会(勉強会)も始まります。しっかりと取り組みたいと思います。また、左目を傷めた件(前回のブログ)では、たくさんの方にご心配をおかけしました。まだ眼帯姿ではありますが、痛みはもうほとんどありません。ただまだ視力がかなり落ちているような気がしていますが、痛みから解放されただけでもかなり幸せな気分です。

【渡辺創】